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昔の施設職員がよかったこと?!・・


 正月に我が家に泊りにきたMさん。もう50代だが彼とは子どもの頃からの付き合いになる。生まれてすぐに親に捨てられ、乳児院から障害児施設・障害者施設とずっと施設で暮らしてきた。その彼の昔からの写真を今いる施設の職員さんにもみてもらいたくて写真を整理してみた。Mさんは私に施設というものがどういうところかを教えてくれた人でもあった。

 正月帰宅するところもないMさんと過ごす場所を仲間の職員と一緒にお金を出し合って施設の近くのアパートを借り、そこでみせるMさんの笑い顔・施設に帰るときの激しい自傷を見た時にここで暮らしたくないよなと実感(共感)できたことがその後の40年の私を支えてきてくれた原点にもなっている。

 写真を整理していると、当時は本当にあっちこっち出かけていた。職員は自分の時間を使いボランティアとして付き合うときに相対的に日常の自分たちの仕事の「つまらなさ」を感じ取っていたと思う。

 夏はあちこちの海や時には3000メートルの山に、冬は新潟のスキー場や軽井沢のスケートに、そして能登へのドライブ旅行などいろんな色あせた写真が出てきた。

 今や施設の旅行もしないところが増えてきている。職員がボランティアとして一緒に出かけることを禁止している施設も多い。職員はどこで、違う顔をみるのだろうか。違う顔があるとも思わないとすれば、施設の職員をやめたほうがいいという時代でもあるはずなのに。

 たしかに昔の施設職員はひどいことも多かったと思うが、今のように自分の暮らしと「利用者」の暮らしのすっきりした切り離しがなかったのではないかと思う。その「よさ」をどうやったら今に生かしていけるのかを考えさせられた正月だった。

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